日本やアジアの民族文化を撮り続け、2022年に劇場公開された「チロンヌプカムイ イオマンテ」が話題となった北村皆雄監督が、キャリア初期に手がけた一作。さまざまな矛盾が渦巻くなかで沖縄が日本への復帰を果たした1972年の夏、一切の撮影を拒絶する秘儀が伝わる西表島の小さな集落・古見をカメラに収め、都会から遠く離れた島で、うめくように必死に生きる人々の姿を記録したドキュメンタリー。西表島・古見の豊年祭には、アカマタと呼ばれる仮面仮装の神が来訪する。しかし、この祭祀の撮影に訪れたスタッフは、「アカマタを撮ったら殺(くる)す」と激しい拒絶にあう。撮影スタッフは、その強い拒絶のエネルギーの根源を探るため集落の17軒ひとつひとつを訪ね歩き、人々から話を聞き、それぞれの家族や島の歴史を記録する。その過程で、伝統的なアカマタを信仰する土着の人々と新しい移住者たちの対立や、炭鉱からの脱走者、島を捨て離れた者たちの存在などが浮かび上がる。
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